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肺炎球菌感染症と小児肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌とは、名前からもわかるとおり肺炎の原因になる細菌です。でも肺炎だけではなく、中耳炎や副鼻腔炎、細菌性髄膜炎、菌血症などの原因にもなります。この肺炎球菌という菌、実は元気なお子さんの鼻やのどにもいるような身近な菌で、普段はおとなしくしていて病気を引き起こさないのですが、抵抗力の弱い小さなお子さんが感染すると、体内に入り込んで様々な病気を引き起こします。
小さいお子さんがかかると怖い病気のひとつとして、細菌性髄膜炎があります(「細菌性髄膜炎」、「ヒブ感染症とヒブワクチン」の頁もご参照ください)。肺炎球菌による髄膜炎は、細菌性髄膜炎の中ではヒブによる髄膜炎に次ぐ多さです。細菌性髄膜炎では約2%のお子さんが亡くなり、肺炎球菌による細菌性髄膜炎で脳の後遺症を残す割合は(死亡例を含めて)約31%と言われています。また、後遺症なく治ったと思われたお子さんが、中学生頃になって軽い知能障害が現れることもあります。
ワクチンで予防!
肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による重症の感染症を予防する唯一の手段です。日本では2010年2月に7価のワクチンが発売され、2013年度から定期接種となっています。また2013年11月からは7価に代わって13価(13種類の肺炎球菌に予防効果がある)ワクチンに切り替わっています。
お勧めのスケジュールは、ヒブワクチンと同時期に、
●生後2ヶ月ちょうどから接種開始、1ヶ月間隔で合計3回
●3回目の接種から7ヶ月以上あけて、かつ1歳の誕生日が過ぎたら4回目
と考えています。
生後4ヶ月頃から肺炎球菌やヒブによる髄膜炎にかかるお子さんが増えるため、最初の3回を早めに済ませるようにしましょう。予防できる病気のワクチンを受けずに、かかって重症になったり命にかかわったりしたら悔やんでも悔やみきれません。接種できる生後2ヶ月になったその日に接種するぐらいのつもりで、早めに受ける事をお勧めします。
また、0歳児は他にも接種が必要なワクチンが多数あります。生後2ヶ月になったら、肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンの他に、ロタワクチン、B型肝炎ワクチンとの同時接種で開始し、生後3ヶ月になったら四種混合(DPT-IPV)ワクチンも加えて同時接種で受けるのがおすすめです。