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手足口病
手足口病は、乳幼児の間で主に夏に流行するウイルス性の感染症で、病名の通り手・足・口の中の発疹が特徴的です。
原因となるウイルスは数種類あり、主にコクサッキーウイルスのA16(CA16)、A6(CA6)、A10(CA10)、あるいはエンテロウイルス71(EV71)などがあります。流行するウイルスは年ごとに異なり、2015年は、8月現在ではCA16、CA6が多い傾向があります(国立感染症研究所ホームページ参照)。
症状
3〜5日の潜伏期間の後、手のひら、足の裏や足の甲、口の中の粘膜などに2〜3mmの水泡性発疹が現れます。時には肘・膝・臀部などにも現れることもあります。熱は出るときも出ないときもあります。なかには全身に発疹が出ることがあり、またごく稀に髄膜炎や脳炎・脳症を引き起こすことがあるため注意が必要です。近年のCA6による手足口病の場合に、他のウイルスでの手足口病に比べて水疱が大きくなったり、数週間後に爪が脱落したりする場合があるという報告があり、実際にそのような症状が現れた患者さんも見受けられます。
感染経路
主に咳やくしゃみなどを介してうつる飛沫感染ですが、皮膚接触やタオルの共用などでうつる接触感染もあります。水疱の内容物にも感染性のあるウイルスが含まれています。症状が治まっても便の中に2~4週にわたりウイルスが排出されています。
治療・予防
残念ながら、手足口病には特別有効な治療薬も、有効なワクチンもありません。しかし数日のうちに自然に治る場合が殆どです。口の中の痛みで水分摂取不足から脱水にならないよう、食事内容や飲み物の配慮が大切です。「食欲が低下した」ときには、まずは薄味の物や軟らかい物をお試しください。熱や口の中の痛みなど、程度によっては症状をやわらげる治療が行なわれます。また尿量が低下するほど水分摂取が難しくなった場合は、点滴や入院が必要になることもあるため受診をお勧めします。
2015年の夏には、手足口病に2回かかったという方が何人かいらっしゃいました。おそらく異なる型のウイルスに立て続けにかかったものと思います。周囲で流行が見られるときは、一度かかったからといって安心せず、手洗い・うがいを積極的に行ない、小さいお子さんのおむつ替えの後は特に手洗いに注意しましょう。
登園・登校
手足口病は、学校で予防すべき伝染病には含まれていません。主な症状が落ち着いたあとも長期にわたって便中にウイルスが排泄されることがあることなどから、集団での流行阻止を目的とした登園・登校禁止は現実的ではないとされています。熱も無く、食欲もあり、遊ぶ元気もあるようであれば、出席しても構いません。気になる症状があれば、外来でご相談ください。