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細菌性髄膜炎について
脳の表面を覆っている膜を髄膜と呼びます。その髄膜に細菌やウイルスなどの病原体が感染して炎症を起こすと、髄膜炎になります。
主な症状は、発熱、頭痛、嘔吐、首の硬直(首を曲げにくくなる)、顔色不良、けいれん発作などです。赤ちゃんや小さいお子さんでは、熱のほかに何となく機嫌が悪い、哺乳量が減った、何となくいつもと様子が違う、といった程度の症状で、かぜとの見分けがつきにくいこともあります。
髄膜炎には大きく分けて2つ、細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎に分かれます(ウイルス性髄膜炎は無菌性髄膜炎に含まれます)。一般的に無菌性髄膜炎は後遺症を残す事は少ないのですが、細菌性髄膜炎にかかると死亡したり後遺症を残したりする確率が高くなります。
細菌性髄膜炎の原因菌は、2009~2010年の国内の調査では約53%はヒブを含むヘモフィルス・インフルエンザ菌、約24%は肺炎球菌となっていました。その他、B群レンサ球菌、大腸菌なども原因菌となっています。年齢別では5歳以下のお子さんが95%以上で、0歳児が約半数でした。細菌性髄膜炎にかかってしまうと、迅速に適切な治療が行なわれても約2%のお子さんが死亡してしまいます。また後遺症(難聴や発達障害、知能障害、脳性まひなど)を残す割合は20〜30%となっていました。
この細菌性髄膜炎の2大原因菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌の一種であるヒブ、および肺炎球菌に対して、日本でもワクチンで予防できるようになっています。ヒブワクチンは2008年に発売、肺炎球菌ワクチンは2010年に発売され、共に2013年度から定期接種になっています。予防できる病気のワクチンをせずに、かかって重症になってしまうと悔やみきれません。予防できる病気は、積極的に、早めにワクチン接種を済ませましょう。
参照ホームページ
●一般社団法人 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会
●本邦における小児細菌性髄膜炎の動向(2009~2010) 感染症学雑誌 第86巻 第5号