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呼吸器内科コラム

その咳、咳喘息かもしれません。

その咳、咳喘息

風邪を引くと咳だけ長引いたり、毎年ある季節になると咳込みが酷くなったり、いったん咳がでだすと止まらなくなったり、そんな困った咳の経験はありませんか? もしかしたら、その咳、咳喘息かもしれません。

咳喘息とは

 咳喘息と気管支喘息の違いは何ですか?と患者さんからよく質問を受けます。気管支喘息では、咳に加えてゼーゼー、ひゅーひゅーといった喘鳴(ぜんめい)症状がみられます。

 一方、咳喘息では咳だけで、聴診でも喘鳴は聞こえません。従ってしばしば診断も困難なことがあります。 問診では、繰り返す咳症状の有無を確認することが大切です。

 また特徴として会話中や、温度差のある環境変化(部屋の移動時や乗物の乗降時)、就寝時や明け方に誘発されることが知られています。基本的な病態は気管支喘息と変わりなく、好酸球という細胞が気道炎症を引き起こす好酸球性気道炎症です。そして、ちょっとした刺激でも気道が収縮しやすい気道過敏性を有しています。このため通常の鎮咳薬を使っても咳が止まらず、気管支拡張薬などの抗喘息薬が良く効くことから臨床的には診断されることが多いのです。

 咳喘息を放置しておくと約3割の患者さんが気管支喘息に移行するとの研究結果もあり、きちんと治療した方が良いでしょう。

呼気中の一酸化窒素

 南大沢メディカルプラザでは、令和元年7月から呼気中の一酸化窒素(NO)濃度を測定する機器を導入致しました。呼気NO濃度は、好酸球性気道炎症の程度を反映しており、気管支喘息や咳喘息で上昇することが知られています。通常の咳では上昇することはありません。測定方法も一定時間息を吐いて頂くだけなので、患者さんへの負担もなく、咳の鑑別診断や治療効果の判定に威力を発揮しています。長引く咳、繰り返す咳でお悩みの方は、気軽にご相談下さい。

2019年9月1日
呼吸器内科:叶 宗一郎
日本呼吸器学会呼吸器専門医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医