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糖尿病内科コラム

糖尿病とは 〜今や男性15.5%、女性9.8 %の国民病〜

 2015年12月に最新の「国民健康・栄養調査(H26年)」の結果が発表され、推定で、成人男性の15.5%、成人女性の9.8%が糖尿病である事が判明しました。 60歳以上なら男性5人に1人、女性の7-8人に1人であり、今や「国民病」ともいうべき病気となりました。

糖尿病とは、こんな病気です

 その糖尿病とは、どんな病気かご存知でしょうか?文字通りの理解だと「尿に糖が出る病気」となりますが、これは病気の本質を表していません。
糖尿病とは「つねに血液の中のブドウ糖(これを血糖といいます)濃度が高くなる病気」です(その結果、尿に糖が出ます)。

やっかいな事に、相当重症にならないと自覚症状はありませんが、常に血糖が高いと動脈硬化などの血管の病気、手足の感覚低下や自律神経障害、視力の低下、腎臓の機能低下などを起こします。

 放っておくと悪化して、手足の先がくさってしまったり、失明したり、腎不全になって透析を受けなければならなくなることもあります。

 また,脳梗塞や心筋梗塞にもかかりやすくなります。タバコを吸っているとその危険性がさらに高くなるのです。

心筋梗塞・狭心症になる危険度は、3〜4倍、脳卒中は3倍!

 最近の統計では、大人になってから失明する原因の2位が糖尿病による目の病気=網膜症(1位は緑内障で、その差は非常に僅差)ですし、腎臓の働きが悪くなって血液 透析になる原因の第1位は、糖尿病が原因の腎臓の病気です。

また、糖尿病患者さんの心筋梗塞・狭心症になる危険(リスク)は、健常者の3〜4倍、脳卒中のそれは3倍です。
しかも、他の病気になっても糖尿病による神経障害によって痛みを感じず発見が遅れたり、抵抗力が弱まるために進展を加速させたり治癒を遅らせたりするため、糖尿病があると寿命が約10年縮まります。

早期予防・早期発見・早期治療が肝心

 そうならないためには、早期予防・早期発見・早期治療が肝心です。糖尿病の原因は一つではなく、体質や生活習慣など種々の要因が絡み合っていますが、多くは、生活習慣 の乱れ、すなわち、過食、運動不足による肥満の影響が大きいのです。それに加齢が加わっての発症が多いため、定期的な健診(特定健診等)で血糖値の異常やメタボを指摘されたら早期受診し、対応を指示してもらいましょう。そして専門治療が必要なら、我々糖尿病専門医が相談に応じます。  最近、糖尿病の治療は、種々の画期的なお薬の開発があり、合併症をより効果的に防ぐことができるようになってきました。 また、生活のスタイルに合わせた治療法も選択できるようになってきました。どうか、手遅れにならないうちに早めにご相談ください。

2016.7.1
日本糖尿病学会糖尿病専門医
高橋 行広