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循環器内科コラム

高血圧と塩分制限2-納豆のタレは半分で-

高血圧と塩分制限

  ひと口に塩分制限と言っても、何をどうすれば良いのでしょうか。「食べないこと」は比較的簡単にできます。麺類のスープを残す、味噌汁や漬け物を食べないなどです。これに対して食べるものを薄味にするのはなかなか難しいようです。


  私が外来で患者さんにしばしばする質問ですが「納豆を召し上がりますか?」「はい、大好きで毎日食べています」「味付けはどうしていますか?」「付いて いるタレだけです。他に醤油とかは足していません」この時点でアウトです。この患者さんは余分な塩分は足しておらず、付属のタレだけでやっているから問題 なしと考えているようですが、どうでしょうか。  確かにタレに含まれている塩分はそれほど大量ではありませんが(私が食べている納豆のタレ1パックには食塩0.8gが含まれていました)、それだけの味 付けをしても味が濃いと思わないのは普段から塩味の濃いものを食べているからだと思われます。長年薄味に慣れている患者さんは、納豆のタレはだいたい半分 か、それ以下でやっているようです。要は納豆のタレ半分で薄味だと思わないような普段の食事をしていただきたいということです。塩分制限は余分な塩分を摂 らないことではなく、減らすことなのです。
 ただし、いきなり半分の味付けでは何とも味気ない食事になってしまいます。10%くらいずつ減らしていけば辛い思いをせずにきっとうまくいきます。


  昼食を外食ですませる方も多いと思いますが、外食では塩分摂取が過多になりやすく、ラーメン(スープも含めて)が7~10g、うどん、そばが同様に 5~6g、定食が4~5gと考えられます。定食ではすでに味付けがしてあるものではなく、自分でソースや醤油をかけて食べられるものを注文するとある程度 調整が利くと思います。自宅で調理する場合のポイントですが、塩分含有量の多い食材を避け、調理の際に用いる調味料の量を減らすことです。ハム、ソーセー ジ、ウインナー、あるいは蒲鉾、ちくわなどの加工食品にはかなりの塩分が含まれます。買い物に出掛けた際は、パッケージの裏をご覧ください。そこには Na(ナトリウム)○○mg含有と記載されています。最近では食塩相当□□gと併記されていることも多いのでわかりやすいと思います。

  我が国における国民一人当たりの塩分摂取量は11g/日ですが、高血圧の患者さんには塩分摂取量が6g以下になるようにお話ししています。自分の健康を自分で守るために自分が食べているものの塩分量をチェックしてみてはいかがでしょうか。
 意外なものにかなりの量が含まれており、びっくりなさるかもしれません。ちなみにNa○○mgは○○ ×2.5/1000gの食塩に相当しますから、食塩相当の記載のないものがあったら、計算してみてください。

2011.06
循環器内科 塚本 三重生